大人も自転車に乗るときはヘルメット着用が努力義務
これまで大人にヘルメットを着用する義務はなく、13歳未満の子どものヘルメット着用に対してのみ、保護者の努力義務がありました。
ところが道路交通法の改正により、大人も同様にヘルメット着用の努力義務が課せられます。したがって自転車に子どもを乗せて運転するときは、子どもだけでなく大人もヘルメットを着用するよう努める必要があります。
※努力義務とは、積極的に努力することが義務づけられているものの、法的拘束力や罰則がなく、どの程度対応するかは個人の裁量に任されている義務のことです。
ヘルメットは事故による被害軽減に役立つ
ヘルメットの着用は、事故にあった際の被害軽減に役立ちます。
「自転車関連事故に係る分析」(平成31年4月25日・警察庁交通局)によると、自転車事故でもっとも死者が多い原因は頭部の負傷で1,555名、次に多いのが胸部の損傷で305名です。
このデータから、頭部の損傷がほかの部位に比べ、圧倒的に死亡の原因となっていることが分かります。
頭部損傷の死亡数が多い理由は、転倒の際、自動車の外板や硬い路面などに頭を打ち付けてしまい、頭蓋骨骨折や脳挫傷といった生命に関わる重症を負う可能性があるためです。
しかしヘルメットを正しく着用し、頭部を守ることで、非着用時に比べて致死率が抑えられることが分析の結果で分かっています。
自転車に乗る前にチェックすべきヘルメットの正しい着用方法
ヘルメットを正しく着用できていないと、その効果は十分に発揮されません。
ここではヘルメットの正しい着用方法や間違った着用方法について解説します。
正しい着用方法
ヘルメットはサイズの合ったものを選び、正しく着用することで事故時に脱げにくくなり、被害の軽減に効果を発揮します。
正しい着用方法とは、主に下記の2点です。
・あごひもをしっかり締める(ひもとあごの間に指が1~2本入る程度)
・ヘルメットを深くかぶる
自転車を使用するときは、これらのポイントに問題がないかを毎回チェックしてから乗車する習慣を身につけましょう。
とくにあごひもは使用しているうちに緩んでくるケースも多いため注意が必要です。
間違った着用方法
ヘルメットを間違った着用方法のまま使用し、事故に遭ってしまうとヘルメットが脱げてしまうケースもあります。
そうなると、ヘルメットを着用していない場合と被害の大きさは変わらないため、死亡や重症などのリスクが高まります。
最悪の事態を避けるためにも、自転車を利用する場合は、下記の状態になっていないか必ず確認しましょう。
・あごひもを装着していない
・あごひもが緩い(ひもとあごの間に指が3本以上入る)
・ヘルメットを浅くかぶっている
自治体によっては補助金が用意されている
住んでいる地域によっては、補助金を利用して自転車用ヘルメットを購入できる可能性があります。
たとえば令和3年4月から愛知県では、自転車事故による負傷者の割合が高い7歳〜18歳と65歳以上の高齢者がヘルメットを購入する際、費用の一部(上限2,000円)を助成する制度が実施されています。
また東京の足立区では、令和5年3月から自転車用ヘルメットが2,000円引きで購入できる補助事業が始まりました。
そのほかの地域でもヘルメット購入に関する補助制度が実施されているケースもあるため、一度確認することをおすすめします。
自転車用ヘルメットの選び方を解説
ヘルメットを選ぶ際は、下記のポイントをチェックしましょう。
・頭の大きさ
・安全性能
・重量
・デザイン
それぞれ具体的に解説します。
頭の大きさに合ったものを選ぶ
頭の形や大きさには個人差があります。
ヘルメットのかぶり心地は、頭の形や大きさに合っているかどうかで決まるため、同じサイズでもメーカーによってフィット感が異なります。
したがって、カタログスペックでの判断を避け、実際に被ることが理想的です。
その際、ヘルメットを深くかぶれるか、かぶったときに違和感がないかをチェックします。
ヘルメットを販売している店舗が近くにない場合や、店舗に行く時間のない場合は、日本メーカーのヘルメットか、海外メーカーのアジアンフィットモデルがおすすめです。
日本のメーカーは、多くの日本人に合わせたサイズで展開しているため、フィットする可能性が高いです。
海外モデルのアジアンフィットサイズも、日本人の頭の形に合わせて作られたモデルなので日本メーカーと同様に、日本人にフィットしやすいでしょう。
安全性能で選ぶ
自転車用ヘルメットには安全規格が設けられています。
日本でもっとも馴染み深いのは、一般社団法人製品安全協会が制定したSGマークでしょう。
SG基準に合った安全な製品作り、検査に合格した製品にSGマークは付いています。
ほかにはJISマークが有名です。
JISマークは、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた、日本の国家規格を指します。
またヘルメットの高い性能を表す規格として、JCF公認ヘルメットがあります。
JCF公認ヘルメットとは、日本自転車競技連盟および加盟団体の主催する自転車競技大会に使用が認められたヘルメットのことです。
JCF公認を得るためには、「ヘルメットの性能およびその試験基準」に適合しているかなど、高い品質が求められます。
海外の安全基準では、EU加盟国のCEマーク、アメリカ合衆国のCPSCなどがあります。
重量で選ぶ
毎日、通勤や通学で自転車を利用する場合は、首や肩への負担についても考慮しましょう。
重すぎるヘルメットは、疲れやすくなるばかりか頭部を動かしにくくなるため、左右や後方への確認がしづらくなり、危険を察知する能力の低下につながります。
しかし軽量タイプの自転車用ヘルメットを選べば、首や肩への負担を軽減し、頭部の機動性を妨げることも少なくなります。
とはいえ、重量にばかり注目してしまうと強度や安全性に問題が生じる可能性もあるため、極端に軽いヘルメットは避け、重量と強度、価格とのバランスで選ぶと良いでしょう。
デザインで選ぶ
頻繁に自転車を利用するなら、ヘルメットのデザインも重要なポイントです。
以前は車からの視認性を重視したロードバイク用の派手なカラーリングヘルメットが主流でしたが、近ごろは街になじむカジュアルなデザインのヘルメットも増えています。
ブラウンやグレーなどの落ち着いたカラーや、丸みのあるデザインだと街乗りのファッションにもなじみやすいでしょう。
また、一見すると帽子のようなタイプなど、さまざまなデザインが用意されているため、好みに合わせて選択できます。
まとめ
現状、大人の自転車用ヘルメットの着用は、法的に罰則を受けない「努力義務」です。
しかし今後は法律や条例の改正により、ヘルメットの着用が義務化される可能性もあります。
安全性を担保するためにも、ヘルメット着用に向けての前向きな検討をおすすめします。
また自転車乗車中に万が一、転倒したりぶつかったりしてケガをしたりしたときに備えて、共済や保険など入っておくと安心でしょう。
ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
東京都の市町村に住民登録のある方なら年齢・健康状態に関係なくどなたでも加入することができ、会費は年額1,000円または500円と大変安価です。
万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。