保険の乗り換えの必要性
「保険の乗り換え」とは、現在の保険を解約または減額して、他の保険会社を含めた別の保険に加入することです。ライフスタイルやライフステージ、健康状態、時代の変化によって、必要な備え(保障)は変わってきます。加入当時は最適な保険であっても、さまざまな変化によって、現在は適していないこともあり得ます。例えば、独身時と結婚時、子どもが生まれた時は、それぞれ必要な備えが異なります。
今の自分や家族に本当に必要な保険に加入するために、乗り換えの検討はとても重要なことです。
保険の乗り換えと似ている制度
「乗り換え=別の保険会社に変更」というイメージがあるかもしれませんが、保険会社を変えずに内容を見直すこともできます。それが「更新」と「転換」です。
保険の更新
「更新」とは、現在加入している保険に継続して加入することです。メリットとしては、更新時の審査 がないため、病気などの健康状態の変化があっても更新可能なことと、保障の空白期間(無保険無担保期間)が生じないことが挙げられます。
一方、デメリットは、更新時の年齢で保険料が再計算されるため、一般的に保険料が上がることです。
保険の転換
「転換」とは、現在加入している保険を解約し、配当金や積立金(転換価格)を使って同じ会社の別の保険に加入することです。メリットとしては、転換価格を保険料に充てられるため、別の会社の新しい保険に加入するよりも保険料を抑えられることが挙げられます。
一方、デメリットは、同じ会社の商品でなければできないこと。そして、転換の際には、再審査が必要となり、解約返戻金も少なくなることです。
保険の乗り換えにおすすめのタイミング
保険の乗り換えを検討するのに適したタイミングは、下記の3つです。
誕生日の前
年齢が上がるほど死亡リスクが高まるため、保険料も上がるのが一般的です。つまり、誕生日を迎えた後よりも誕生日前に乗り換えた方が、保険料が安くなる可能性があります。
ただし、これは保険商品が契約日時点での満年齢で計算する「満年齢方式」を採用している場合です。他に「保険年齢方式」(契約日時点での満年齢の1年未満の端数が6カ月を超える場合には1つ上の年齢にし、6カ月未満の場合には満年齢と同じ年齢で計算する方式)もあるため、どちらの方式を採用しているか確認しておきましょう。
ライフスタイルやライフステージが変わる
就職や結婚、出産、家の購入など、ライフスタイルやライフステージが変わるときは必要な保障内容も変わるため、保険の乗り換えにおすすめなタイミングといえます。
例えば、子どもが生まれれば、万が一への備えの必要性が増しますし、教育費の貯蓄を考慮した保険利用も検討した方がよいかもしれません。
また家の購入時(ローンを組んだとき)には、一般的に団体信用生命保険に加入します。その場合、今加入している保険の保障内容と重複することがあるため、家の購入は保険の乗り換えを検討するタイミングといえます。
契約更新の時期が近づいているとき
更新時期が近づくと、保険会社から「更新のお知らせ」が届きます。契約更新の際には、更新せずに乗り換える方がよい場合もあります。前述したように、更新すると一般的に保険料が上がります。しかし、このタイミングで保険を見直して必要な保障のみの保険に乗り換えた場合、保険料が下がる可能性もあります。
保険を乗り換えるメリット
保険を乗り換える主なメリットを、3つ解説します。
メリット1.保険料が下がる可能性がある
更新などでは年齢が上がっていくごとに保険料も上がっていきますが、保険会社を乗り換えることで、現在の保障内容をほとんど維持したまま、保険料が下がる可能性があります。
同じような保障内容でも保険会社ごとに保険料が異なるのは、保険料を算出するための数値を保険会社が独自に設定しているからです。
メリット2.必要な保障内容の商品を選べる
乗り換えを検討する際に、現在のライフスタイルやライフステージ、資産状況などを見直すことで、現時点で本当に必要な保障を確認することができます。
見直した結果、不足している保障(備えることができていないリスク)があれば、それをカバーできる商品を選ぶことで、今の自分に本当に必要な保障を得ることができます。
メリット3.最新の保険商品なども比較・検討できる
保険は、公的保障の政策転換や医療技術の発展、ニーズの変化などに伴って、新しい商品が次々に生まれています。当時は実生活に即した保険であっても、今の生活に照らし合わせてみると、十分な保障を受けられなかったり、逆に過剰である場合もあります。
乗り換えを検討することで、時代や医療技術に合った最新の保険商品を検討できることはメリットといえるでしょう。
保険を乗り換えるデメリット
保険を乗り換える主なデメリットを、3つ解説します。
デメリット1.内容によっては元本割れを起こす可能性がある
終身保険や養老保険のような貯蓄型保険の場合は、解約するときに「解約返戻金」を受け取ることができます。解約返戻金は、それまで支払った保険料に対して保険会社から払い戻されるお金のことです。
しかし、支払った保険料が必ず全額戻ってくるわけではありません。乗り換えることで、支払った保険料の総額よりも解約返戻金の方が少ない「元本割れ」を起こす可能性があります。
デメリット2.高金利のプレミア保険は入り直せない可能性がある
保険会社が契約者に約束する運用の利回り(予定利率)は、景気の影響を受けます。同じ保障額であっても、予定利率が下がると保険料は上がり、解約返戻率も下がるのが一般的です。
好景気のときに契約した利回りの高い貯蓄型保険の場合、現在よりも利率がよく貯蓄性が高いものもあります。このような高金利の「プレミア保険」を解約してしまうと、同じような高利率や好条件での加入は難しいケースが多いです。
デメリット3.乗り換え先の保険に必ず加入できるとは限らない
乗り換えのときには、新たに申し込む保険会社の審査を受けることになります。以前は審査を通過したとしても、現在の健康状態や職業の状況によっては審査に落ちてしまうこともあります。乗り換え先の保険に必ず加入できるとは限らないことを頭の片隅に置いておくべきでしょう。
保険を乗り換える方法
保険の乗り換えは、下記のような手順で行います。
1.新しく加入する保険を決める
保険会社のパンフレットやウェブサイトなどで保険商品の情報を集めます。ときにはファイナンシャルプランナーなどの専門家の力も借りながら、新しく加入する保険を決めます。
2.新しい保険に申し込む
加入を決めた保険を取り扱う店舗窓口やウェブサイトで申し込み、告知・審査を受けます。
3.新しい保険の契約が成立
審査が通ったら、保険料を支払うことで契約が成立します。
4.既契約保険の解約手続きを行う
新しい保険の契約が成立したら、不要となった既存保険の解約手続きを行います。解約手続きが完了すれば、乗り換え完了です。
保険を乗り換える際の注意点
保険を乗り換える際に、特に注意すべき点を3つ解説します。
内容をよく比較する
乗り換えをするときは、現在の保険と新しい保険をよく比較検討するようにしましょう。保険料と保障内容だけでなく、さまざまな特約の条件にも目を通すようにしましょう。
新しい保険の契約が完了してから既契約保険を解約する
乗り換えの際には、保障の空白期間(無保険期間)をつくらないように、新しい保険の契約が完了(保障が開始)してから、現在の保険を解約した方が安心です。
新しい保険の契約が完了する前に既存の保険を解約してしまうと、万が一新しい保険の審査に落ちた場合に無保険の期間ができてしまいます。
新しい保険の免責期間を把握しておく
保険には、免責期間(保険金や給付金を受け取れる状態になっても、保険金が支払われない期間)がある場合があります。新しい保険に乗り換える際には、この免責期間も把握して、必要な備えをしておくことが大切です。
保険の乗り換え・解約時にお金が返ってくることがある
2010年4月1日に「保険法」が施行されたことにより、2010年4月以降に契約した保険(主契約の更新も含む)は、未経過の月数に対応する保険料相当額が契約者(保険金受け取りの場合は受取人)に返還されるようになりました(ただし、保険料の支払い方法が「年払い」もしくは「半年払い」の場合)。
乗り換えの際に、解約する保険から数カ月分の保険料が戻ってくる可能性があるので、契約日等を確認してみましょう。
しかし、全ての生命保険が対応しているわけではなく、商品によっては保険料相当額が返還されないものもあります。
※参考:生命保険に関するQ&A|公益財団法人生命保険文化センター
まとめ
保険の乗り換えについて、適したタイミングとメリット・デメリットなどを解説してきました。前述してきたとおり、保険は「一度入っておけばそれで安心」というものではありません。ライブイベント等に合わせて、適切なタイミングで、何度も見直していくことが大切です。
ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
東京都の市町村に住民登録のある方なら年齢・健康状態に関係なくどなたでも加入することができ、会費は年額1,000円または500円と大変安価です。
万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。