こんにちは。ちょこっと共済ライターチームです。
この記事で分かること。
・自賠責保険は「物損事故」に対応していない
・物損事故の賠償方法や費用の目安、注意点
・自賠責保険と任意保険に加入するメリット

まとめ

自賠責保険だけでは、交通事故の賠償に対応できない場合があります。
自賠責保険は「交通事故被害者の救済を目的とした保険」であり、物損事故は対象外だからです。
この自賠責保険によって被害者は最低限度の補償を受けられ、一方、加害者にとっては被害者の治療費や賠償金など、負わなければならない費用が補てんされる保険制度です。
ですが、車の事故は死傷者が出ないケースはあっても、自身の車を含めた物の破損がないケースはほとんどありません。万が一の備えとして、任意保険に加入することをおすすめします。

ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
500円から加入出来ます。万が一の事故に備えてご検討ください。

自賠責保険は、物を壊してしまったときには使えない? 自賠責保険だけでは、交通事故の賠償に対応できない場合があります。この記事では、物損事故と人身事故の違いや、自賠責保険が物損事故に対応できない理由、任意保険未加入で物損事故を起こした場合にどうなるのか、賠償費用の目安、賠償方法などを解説しますので参考にしてください。

物損事故と人身事故の違い

物損事故と人身事故、それぞれの概要と違いを解説します。

物損事故とは?

物損事故とは、死傷者のいない交通事故のことです。例えば、電柱やガードレール、自宅の車庫にぶつかってしまった場合など、運転者が単独で起こした事故(自損事故)や、停車中の人が乗っていない自動車や他人の自宅などの所有物を破損してしまった場合が該当します。人身の事故であっても、軽傷の場合は、被害者の意向によって物損事故として処理される場合もあります。

人身事故との違い

人身事故とは、死傷者のいる交通事故のことで、物損事故よりも重い罰則が科せられます。人身事故の場合、事故後すぐに警察による現場検証(実況見分)が行われます。一方、物損事故の場合、警察による現場検証は省略され、物件事故報告書(現場の状況証拠や事故に関する報告書類)の作成のみで処理されることもあります。

物損事故が起きた場合の対応方法

万が一、物損事故を起こしてしまった場合は、次の流れで対応します。最初に二次的な事故が発生しないように現場での安全を確保します。その後、警察に通報し、現場にかけつけた警察に事故の状況を報告します。次に自分が契約する保険会社にも連絡します。なお、被害者がいる場合(他人の所有物を破損してしまった場合)は、示談交渉を行い、賠償金を支払います。

自賠責保険は物損事故に対応できない

自賠責保険が物損事故に対応できない理由を解説します。

自賠責保険とは?

自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法によって、車(原動機付自転車を含む自動車)の所有者に対して加入が義務づけられている保険です。正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といいます。未加入や契約を更新せずに期限切れになった状態で車を運転すると、法律により「1年以下の懲役」または「50万円以下の罰金」が科せられます。さらに違反点数6点で免許停止となります。また、自賠責保険に加入していても、運転時に自賠責保険の証明書を所持していない場合は「30万円以下の罰金」が科せられます。

交通事故の被害者に最低限の救済をするための保険

自賠責保険が、物損事故に対応できないのは、そもそも「交通事故被害者の救済を目的とした保険」だからです。この自賠責保険によって被害者は最低限度の補償を受けられ、一方、加害者にとっては被害者の治療費や賠償金など、負わなければならない費用が補てんされる保険制度です。

自賠責保険は物損事故が対象外

自賠責保険の補償は、他人を死亡させたり、怪我をさせてしまった場合などの人身事故のみで、物損事故は「対象外」です。運転者自身の怪我の場合も「対象外」ですが、自分の車の同乗者は補償対象となり、保険金が支払われます。ただし、同乗者が車の名義人の場合は補償されません。

自賠責保険の加入のみで物損事故を起こすとどうなるのか?

自賠責保険の加入のみで物損事故を起こしたり、被害に遭った場合、どうなるのか解説します。

対象物の修理代を自分で支払わなければならない

自賠責保険は、物損事故に対応していません。そのため、車を運転していて他人の車などに衝突した場合は、自分の車と被害者の車の両方の修理代を自己負担することになります。また、運転者や同乗者が身につけていた衣類や時計などの装飾品の損害にも対応できません。

加害者が賠償金を支払えない場合は自分で負担しなければならない

被害者として物損事故に遭って車などの所有物が破損した場合も、加害者が自賠責保険の加入のみだとリスクがあります。例えば、加害者である相手が任意保険未加入で補償金(修理費など)を支払う能力がない場合、車などの物の修理費は自分で負担しなければなりません。

物損事故の賠償内容と費用の目安

物損事故はどのような賠償が発生するのか、その内容と費用の目安を解説します。

被害者と自分の車の修理代・評価損

自分が加害者で被害者がいる場合、自分と被害者の車に対する費用が発生します。修理可能な場合と不可能な場合で賠償内容が異なり、修理可能な場合は「修理費」「評価損」が発生します。一方、修理不可能な場合は「買い替え費」が発生します。
評価損とは、修理をして機能・性能を取り戻したとしても車の価値(売却価格など)が低下してしまうことがあり、その価値の低下に対する賠償です。

積荷の損害

車に荷物を載せていて荷物が破損した場合、その積荷の損害にも賠償が発生します。その際には、事故との因果関係(事故によって壊れたのかどうか)の証明が必要になります。

休業・休車による損害

バスやタクシー、宅配車両などの仕事で使っている車が破損すると、本来得られたであろう利益が得られなくなります。その営業上の損失は賠償の対象です。
「休業損害」や「休車損害」という名目で、損害額は「(1日当たりの平均売上-必要経費)×休業日数」で算出されます。

代車・レッカーの利用料金

事故現場から修理工場・廃車工場へのレッカー移動にかかった費用も、賠償対象になります。さらに新車の納品や修理が終わるまでに代車を借りた場合の費用も賠償対象です。自分が加害者の場合、自分と被害者の分の費用が発生することになります。

物損事故の賠償方法

物損事故の賠償には、「賠償金額を自腹で支払う」方法と、「任意保険の補償を利用して支払う」方法があります。それぞれを解説します。

すべての賠償金額を自腹で支払う

自賠責保険のみに加入している場合、物損事故の加害者は被害者と直接示談交渉を進める必要があります。自分では支払うことができない高額な賠償請求を受けるケースもあり、支払わずに放置すると、被害者から裁判を起こされる可能性もあります。さらに裁判で支払いの義務が認められた場合、給与や自宅などの資産の差し押さえが強制的に執行されることもあります。

任意保険の補償を利用して支払う

車の使用者自身の意思で加入する「任意保険(正式名称、任意自動車保険)」に加入することで、物損事故の賠償額を任意保険の補償を利用して支払うことができます。
自賠責保険の補償範囲が被害者・同乗者の死亡・怪我のみなのに対して、任意保険の補償範囲は被害者の死亡・怪我、被害者の物損、加害者の死亡・怪我、加害者の物損と、広くカバーしています。
補償額についても任意保険は自賠責保険より高額です。任意保険にはさまざまな種類があり、予算や必要な補償内容に応じて契約内容を選べるのも特徴です。

自賠責保険と任意保険に加入するメリット

車による事故は、死傷者が出ない場合もありますが、必ずと言っていいほど車などが破損します。前述で解説したとおり、自賠責保険は対人賠償のみです。自賠責保険に加えて、任意保険にも加入することで、車による事故で大抵のケースにおいて発生する対物賠償の補償を受けられます。任意保険では、自分の過失分や自然災害による損害が補償 されるものもあります。

物損事故で任意保険を利用する場合の注意点

任意保険を利用する際に注意すべき点があります。

任意保険の等級が下がる

交通事故の賠償に任意保険を利用すると、等級が下がる場合があります。等級が下がるかどうかは事故のケースによって定められており、単独の物損事故(電柱、車、家屋、店舗など)のケースで任意保険を利用すると翌年の契約の等級が3等級下がります(3等級ダウン事故)。また車の盗難被害や落書き、いたずらによる傷、自然災害などの修理に任意保険を利用すると翌年の契約の等級が1等級下がります(1等級ダウン事故)。一方、保険会社や特約によって条件が異なりますが、例えば、無保険車傷害特約を利用できるケースなど、等級が下がらないこともあります(ノーカウント事故)。

任意保険の保険料が増える

任意保険は、等級によって保険料が割引・割増される料金体系をとっており、等級が下がると割引率が下がるため保険料が高くなります。つまり、3等級ダウン事故、1等級ダウン事故の場合、翌年以降の保険料は上がることになります。そのため事故によっては、任意保険を使用しない方が費用を抑えられる場合があります。

任意保険の対物賠償の保険金限度額を無制限にすべき理由

任意保険の保険金限度額は選ぶことができますが、「無制限」にすることをおすすめします。その理由を解説します。

巨額の対物賠償を請求されるケースが増えている

高額な商品を積んでいる車との物損事故や店舗を大破させてしまうような物損事故の場合、巨額の賠償金を請求される可能性があります。過去には、積荷の損害に対して数億円規模の賠償金の支払いが命じられたケースもあります。
また、対物賠償は修理費用など物に対する賠償以外にも、営業できない期間の逸失利益に対する賠償もあります。その場合も高額になるケースがあるため、対物保険は保険金額を「無制限」にするのが主流になっています。

限度額を超える賠償請求は示談交渉が進まない可能性もある

保険会社の約款には、「1度の物損事故の保険金額が補償額を超える場合は示談代行ができない」といった内容の規定が存在します。そのため、「無制限」に設定しておくことで、安心して示談交渉を任せられます。

無制限にしても保険料に大きな差はない

「無制限」にすることで、上記2つのメリットを得られます。しかも、「無制限」にしても、年間の保険料は限度額を設定した場合と比べて、数百円~数千円程度しか変わりません。
対物賠償は2000万~3000万円ほどの補償限度額があれば十分ともいわれていますが、賠償金が高額になる可能性を考慮すると、「無制限」を選ぶと安心です。

まとめ

自賠責保険だけでは、「物損事故」に対応できないことを解説しました。前述で解説したとおり、車の事故は、死傷者が出ないケースはあっても、自身の車を含めた物の破損がないケースはほとんどありません。万が一の備えとして、任意保険に加入することをおすすめします。

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万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。