交通事故で受け取れる保険金
交通事故で受け取れる保険金について、
わかりやすく解説します。
交通事故の保険金
交通事故の保険金とは、交通事故で生じた損害の全てを補償するために、加害者側の保険会社から支払われる「損害賠償金」のことを指します。実際は加害者本人からではなく、加害者が加入する自賠責保険や任意保険から支払われることから「保険金」と呼ばれています。
示談金や慰謝料との違い
被害者と加害者双方が話し合いのうえで合意した金額であることから、損害賠償金のことを「示談金」とも呼びます。つまり損害賠償金と示談金は同じものです。もう1つ、よく耳にする用語として「慰謝料」がありますが、慰謝料は損害賠償金(示談金)の一部で、交通事故で生じた精神的苦痛に対して支払われる部分です。
交通事故の保険金を受け取る際には交渉するべき
交通事故の保険金は、一般的に加害者側の保険会社から提示されます。この提示額は、法律(自動車損害賠償保障法)で定められた賠償基準によって算出された必要最低限の賠償額であることが多く、交渉次第で増額が可能です。
特に入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などの慰謝料は増額が期待できます。
交通事故で受け取れる慰謝料の種類と相場
自賠責保険から受け取れる慰謝料は、「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類です。これら慰謝料のほかに、治療費や入院雑費、通院公費、物損の損害賠償金など、保険金として請求できる項目はたくさんありますが、ここでは前述の3種類の慰謝料について解説していきます。
入通院慰謝料
治療のために入院や通院することで生じる精神的苦痛に対する慰謝料です。自賠責保険の入通院慰謝料は、通院1日あたり4300円です。この金額は、自動車損害賠償保障法16条の3による基準で算出されています。ケガの部位や程度が重く、入通院期間が長くなれば金額は高くなります。
※参考:自動車損害賠償保障法 | e-Gov法令検索
後遺障害慰謝料
後遺障害の症状により生じる精神的苦痛に対する慰謝料です。後遺障害の部位や重さに応じて後遺障害等級が認定されます。等級は重いものから第1級~第14級まであり、自賠責保険の後遺障害慰謝の金額は、1150万円(第1級)~32万円(第14級)となっています。
死亡慰謝料
死亡することで生じる精神的苦痛に対する慰謝料です。自賠責保険では、被害者本人の死亡慰謝料として400万円。ここに、遺族が1人なら550万円、2人なら650万円、3人以上なら750万円が加算されます。さらに未成年の子供がいるなら200万円が加算されます。
交通事故の保険金、算出方法は?
前述まででは自賠責保険がもとづく「自賠責基準」の賠償額を紹介してきましたが、ほかにも「任意保険基準」と「弁護士基準」が存在します。自賠責基準は自動車損害賠償保障法で定められた必要最低限の賠償基準、任意保険基準は示談交渉提示される各保険会社が独自に定めた賠償基準、弁護士基準は弁護士が加害者との示談交渉や裁判で用いる過去の判例にもとづいた賠償基準です。弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の順に金額が大きくなります。
交通事故の保険金、示談から受け取りまでの目安
交通事故の保険金を受け取るタイミングなどについて、わかりやすく解説します。
交通事故の保険金を受け取るまでの期間
保険金の金額を決める示談交渉は、基本的にはケガの治療が終わり、必要に応じて後遺障害の認定が済んだ後に行われます。治療期間+後遺障害認定期間+示談交渉期間の後に、ようやく保険金を受け取るタイミングがくるため、ケガの程度により異なりますが、交通事故発生から1か月~半年程度はかかります。
示談成立前に保険金は受け取れるか
前項目で、保険金は示談整理後に受け取れることを解説しましたが、治療費や休業損害は、治療や休業と並行して受け取れるケースもあります。これは、加害者側の自賠責保険会社に対して被害者が損害額の支払請求を行う「被害者請求」で行え、被害者請求に必要な文書料、入通院慰謝料なども示談成立前に受け取ることができます。
交通事故の保険金、支払われるまでの流れ
交通事故の発生から保険金が支払われるまでの流れについて、わかりやすく解説します。
加害者・警察・保険会社への対応
加害者は道路交通法で義務付けられた現場対応を行います。被害者となってしまった場合にも、意識すべき対応がありますので、次項で解説します。
加害者への対応
相手の運転免許証や住所や電話番号などの情報、自分の被害を含めた事故状況を確認しましょう。さらに目撃者がいる場合は、目撃者の氏名と連絡先も聞いておきましょう。
警察への届出
保険金請求には交通事故証明書が必要です。同証明書を得るため、必ず警察へ届出ます。また加害者側が「物損事故」として届けるようお願いしてきても、冷静に実態に合った届出をしましょう。
保険会社への連絡
保険金を請求するうえで保険会社への連絡は不可欠です。保険の約款にも「交通事故後、速やかに保険会社に連絡する」ことが明記されています。すみやかに連絡しましょう。
ケガの治療をする
保険金を確定するには、治療を終わらせる必要があります。また自覚症状がなくても、必ず病院で診てもらいましょう。ケガの場合は「整形外科」を受診し、場合によってはほかの診療科も受診すると安心です。治療費は原則として加害者側の保険会社が支払います。
必要な書類を提出する
自分の保険会社から「保険金請求書」など、加害者側の保険会社からは医療機関への「照会用同意書」などの書類が送られてきます。記入して返送しましょう。
保険会社による調査実施が行われる
返送された書類を参照しながら、保険会社(調査事務所)が、事故の発生状況や損害に関する調査が行われます。自賠責保険の対象かどうかが判断され、損害額が適正かどうかも調査されます。
示談交渉が行われる
示談は、入院費、治療費など全ての損害賠償額が確定後に保険会社間で行われるのが一般的です。示談では、被害者と加害者双方の過失割合や賠償額などについての交渉が行われます。合意に至れば示談が成立し、保険金の金額が確定します。
過失割合とは
示談で交渉される過失割合とは、交通事故に対して加害者・被害者双方にどのくらいの割合で責任があるのかを示すものです。過去の判例を基準に当事者や保険会社間で話し合って決定します、過失割合は損害賠償の金額に大きく影響します。
保険金が支払われる
保険金の支払いは、加害者側の(任意)保険会社が窓口となり、自賠責保険と任意保険の賠償金を一括して支払われるのが一般的です。この対応を「任意一括対応」と呼びます。
交通事故の保険金に関する注意点
交通事故の保険金には、いくつか注意すべき点があります。それらを、わかりやすく解説します。
損害確定前の示談交渉には要注意
加害者側から損害確定前に示談交渉を持ちかけられても、基本的に応じるべきではありません。示談成立後に新たに損害が確定した場合、追加で賠償請求できない可能性があるからです。特に人身事故では、ケガが完治していない段階での示談交渉は避けるべきです。
保険料は正確な通院日数で請求する
保険料を不正確な通院日数で請求することは、詐欺罪にあたります。実際に、不正確な通院日数で保険料を請求した結果、逮捕される事件が発生しています。たとえ医師から通院日数の水増しを打診されたとしても、必ず断るようにしてください。
課税対象となる保険金について把握する
基本的に保険金は非課税ですが、一部、課税対象となります。例えば、損害に対して高額な保険金は「財産が増えた」と判断されて課税対象となるほか、被害者自身の保険から受け取る人身傷害保険の保険金のうち被害者の過失割合に相当する部分は課税対象となります。
まとめ
自賠責保険から受け取れる慰謝料の解説に加え、保険金を受け取る際に交渉するべきことをお伝えしました。適正な保険金を得るには、多くの手順(流れ)を1つずつクリアする必要があり、1か月~半年程度と長い時間も要します。万が一交通事故に遭ってしまった場合は、誰しもさまざまな不安がつきまとうものです。相互扶助のサービスによって安心感を得るのがおすすめです。
ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
東京都の市町村に住民登録のある方なら年齢・健康状態に関係なくどなたでも加入することができ、会費は年額1,000円または500円と大変安価です。
万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。