自転車事故のリスク
交通事故件数全体の2割弱を占める自転車事故。
自転車事故には、どのようなリスクがあるのか解説します。
自分がケガをする
自転車事故に遭うと、自分がケガをします。自転車事故の約80%が自動車との事故で、出会い頭の衝突事故や右折・左折時の衝突事故が多くを占めています。事故の主な要因には、安全不確認、一時不停止、信号無視などがあります。
事故に伴うリスク
保険加入の有無で、金銭的なリスクが変わります。自分が自転車に乗り、相手が自動車・バイクの事故の場合は、基本的に相手が加入する保険から保障を受けられます。しかし、自分の事故の過失割合が多い(責任が大きい)場合、相手に賠償金を支払わなければならない可能性もあります。
他者にケガをさせてしまう
自転車事故で、他者にケガをさせてしまうこともあります。相手が自転車や歩行者の場合、死亡させたり後遺症の残るケガを負わせたりしてしまう可能性もあります。
歩行者との事故の要因には、歩道走行中の接触、曲がり角での衝突などがあります。
事故に伴うリスク
保険加入の有無で、金銭的なリスクが変わります。自分が自転車に乗り、相手が歩行者の事故の場合は、基本的に相手に賠償金を支払わなければなりません。万が一、相手を死亡させてしまったり、後遺症の残るケガを負わせてしまったりすると、高額な損害賠償が発生するケースもあります。
物を壊してしまう
対人だけでなく、自転車事故で他人の所有物(財産)に損害を与えてしまうこともあります。傘さし運転などの交通ルール違反、マナー違反に加えて、近年、スマートフォンの使いながら運転も大きな要因になっています。
事故に伴うリスク
保険加入の有無で、金銭的なリスクが変わります。自分が自転車に乗り、他人の所有物(財産)に損害を与えてしまった場合は、損害に対して賠償責任があり、多額な賠償を求められることもあります。
自転車保険の必要性
被害者救済などの観点から自転車保険加入の義務化が広まっている理由を解説します。
高額の損害賠償責任を負う可能性がある
事故により相手が死亡したり後遺症を負ったりした場合、高額な損害賠償責任が発生するケースが増えています。大きな賠償責任が発生したときに、被害者が十分な賠償を受けられるよう、また加害者の今後の人生のためにも金銭的な備えとして、自転車保険加入の必要性が高まっています。
被害者に治療費を支払う必要がある
被害者が十分な治療を受けられるだけの治療費を支払うために、保険の保障が必要になることがあります。一方、自分が被害者になった時も、加害者が保険に加入していない場合、治療に必要な賠償を受けられない可能性もあります。
そのようなケースに備えて、自分の保険でまかなえるようにしておくと安心です。
自転車保険で保障される「自分のケガへの保障」と「相手への賠償」
自転車保険で保障される内容には、「自分のケガへの保障」と「相手への賠償」の2種類があります。それぞれの主な内容について解説します。
自分のケガへの保障
自分が加害者であっても被害者であっても、事故のケガによる入院費や手術費の保障、後遺症が残ったときの保障、死亡の保障があります。これら対人以外にも、自転車の修理費など物損の保障も存在します。
保険金の支払い
自分のケガへの保障は傷害保険が対象です。保障内容の種類には、通院補償、入院補償、手術補償に加え、事故によって後遺障害が残ったり死亡したりした場合の死亡・後遺障害補償などがあります。
相手への賠償
事故の相手が自転車や歩行者の場合、死亡させたり後遺症の残るケガを負わせたりしてしまう可能性があり、その場合は損害賠償責任が発生します。
自分のケガへの保障のみで、損害賠償責任補償(相手への賠償)のない保険もあるので注意が必要です。
対人・対物の損害賠償
自転車を運転していて事故をおこし、他者を死傷させてしまったり、他者の車や家などの所有物(財産)を損壊させてしまった場合、損害賠償責任が発生します。
示談の代理交渉
自転車事故の場合は、当事者同士で話し合いによる合意によって解決する「示談」が行われます。
公平な交渉が行われるように、また訴訟に発展しないようにするため、示談の代理を行うサービスもあります。
自転車事故の賠償例
自転車事故は、高額の賠償金の支払いが命じられるケースも増えています。賠償例を紹介します。
自転車・バイクとの事故による賠償例
自転車と(相手が)自転車・バイクとの事故の場合、事故時の状況や損害状況、双方の過失割合などにより、賠償額が決まります。高額の賠償責任が課せられた事例が少なくなく、その金額は数千万から1億円近くに上ることもあります。
斜め横断をした男子高校生の賠償例
「男子高校生が自転車で車道を斜めに横断し、対向車線を直進してきた24歳会社員男性が運転する自転車と衝突。会社員男性に言語機能の喪失など重大な障害が残った」。このケースでは、東京地方裁判所が、男子高校生に9266万円の賠償を命じる判決を下しました。
オートバイとの衝突事故による賠償例
「男子高校生が自転車で、赤信号の交差点の横断歩道を走行し、
62歳旋盤工男性が運転するオートバイと衝突。旋盤工男性は頭蓋内損傷で事故から13日後に死亡した」。このケースでは、東京地方裁判所が、男子高校生に4043万円の賠償を命じる判決を下しました。
歩行者との事故による賠償例
相手が歩行者の場合、自転車を運転している自分に賠償責任が発生します。慰謝料は自動車事故と同じで高額になるケースがあります。また、未成年者が加害者となることも少なくありません。その場合は、未成年にも賠償責任が発生し、支払い能力がない場合は親が責任を負うことになります。
男子小学生と歩行中の女性の正面衝突事故
「男子小学生が夜、自転車のライトを点けずに坂道を下り、歩行していた 62歳女性と衝突。女性は頭の骨を折るなどの損傷を負い意識不明に。その後、後遺障害が残った」。このケースでは、神戸地方裁判所が、男子小学生の母親に9520万円の賠償を命じる判決を下しました。
下り坂のスピード走行による賠償例
「男性が夕方、ペットボトルを片手に持ち、下り坂をスピードを落とさずに走行。交差点に進入したところで、横断歩道を歩行中の38才女性と衝突。女性は脳挫傷などで事故から3日後に死亡した」。このケースでは、東京地方裁判所が、男性に6779万円の賠償を命じる判決を下しました。
自転車事故に備えるためにやるべきこと
先述してきたとおり、自転車運転中の事故であっても自動車と同じように高額な賠償責任が課せられることがあります。万が一のときのために、備えておくべきことを解説します。
自転車保険に入る
自転車保険とは、個人賠償責任補償が特約で付く傷害保険、個人賠償責任保険のことです。加入により、自分のケガへの保障、相手への賠償責任を果たすことができます。2015年10月に兵庫県が加入を義務化し、ほかの地域にも義務化の流れが広がっています。2020年4月には東京都全域でも加入が義務づけられました。
個人賠償責任保険の特約を付加する
個人賠償責任保険の特約とは、自身や家族が事故により損害賠償責任を負った場合に保障を受けられる契約です。自動車保険などのオプション(特約)として付加でき、数千円程度の保険料で万が一に備えることができます。
TSマーク付きの自転車に乗る
TSマーク付きの自転車とは、自転車安全整備士が点検整備した“安全な自転車”であることを証明するTSマークシールが貼られた自転車です。自転車そのものに、傷害保険と賠償責任保険(点検整備の日から1年間)が付いていて、誰が運転していても保障の対象になります。
自転車保険の選び方
自転車保険の選び方についてわかりやすく解説します。
保障内容を確認する
傷害補償と個人賠償責任補償がセットになっていることが重要です。傷害補償は自分のケガや自転車の損傷に対する備えで、個人賠償責任補償は相手のケガや自転車の損傷などによる賠償に対する備えです。さらに示談の代理交渉の有無についても確認すると良いでしょう。
補償金額を確認する
特に補償金額を確認すべきなのが、個人賠償責任補償です。なぜなら自転車事故の加害者に課せられる賠償金額は高額になるケースが少なくないからです。過去には1億円近い高額賠償事例もあるので、補償金額は1億円以上あると安心です。
保障範囲を確認する
家族も自転車に乗るのであれば、個人賠償責任補償の保障範囲は「家族全員」が良いでしょう。傷害補償は、単独転倒も保障されるものや自転車利用中以外の事故によるケガも保障されるものなど、さまざまな範囲があります。細かい部分まで確認しましょう。
自転車保険を選ぶ際に気をつけるべきポイント
自転車保険を選ぶ際に気をつけるべきポイントについて解説します。
加入済の保険と重複していないかを確認する
加入している保険と保障内容が重複していないか確認しましょう。傷害保険は、医療保険や生命保険と重複する部分があることが多く、個人賠償責任保険は火災保険などの特約で付加していることがあります。
保障と保険料のバランスを考える
保障を厚くするほど安心できますが、その分、保険料は高くなっていきます。傷害保険は自分や家族に必要な保障を整理したうえで、保障内容(補償金額と保障範囲)と保険料のバランスを考えましょう。
まとめ
本記事では、自転車事故のリスクと保険の必要性を解説しました。紹介した高額賠償例からも自転車保険加入がなぜ必要なのか、わかったかと思います。傷害補償と個人賠償責任補償それぞれの補償金額や保障範囲に加え、加入済み保険との重複なども考慮し、しっかりと備えましょう。
ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
東京都の市町村に住民登録のある方なら年齢・健康状態に関係なくどなたでも加入することができ、会費は年額1,000円または500円と大変安価です。
万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。