自賠責保険とは
自賠責保険がどのような保険制度なのか、分かりやすく解説します。
自賠責保険の仕組み
自賠責保険(正式名称は「自動車損害賠償責任保険」)とは、自動車やバイクなどによる交通事故の被害者が、最低限の補償を受けられるようにすることを目的とした保険です。原動機付自転車(原付)を含む自動車を所有している人は、「必ず加入する」ことが法律で定められています。そのため「強制保険」とも呼ばれています。
自賠責保険の補償範囲
自賠責保険は、自動車などの運転中に事故を起こし、被害者が怪我や後遺障害、死亡などの損害を受けた場合に、その損害に応じて一定額の保険金が支払われます。
補償の範囲は次の通りです。
・傷害の場合:治療関係費(診察料や看護料など治療や入院に関わる費用)、文書料(交通事故証明書や印鑑証明書、住民票などの発行手数料)、休業損害(事故による収入の減少に対する補償)、慰謝料(精神的・肉体的な苦痛に対する補償)
・後遺障害の場合:逸失利益(障害による労働能力の減少などで将来発生するであろう収入の減少に対する補償)、慰謝料
・死亡の場合:葬儀費(通夜、祭壇、火葬、墓石などの費用)、逸失利益(死亡しなければ将来得たであろう収入から、本人の生活費を控除した金額に対する補償)、慰謝料(被害者本人に対する慰謝料、遺族に対する慰謝料)
自賠責保険の加入期間
自賠責保険は、1日や数日単位での加入は認められていません。加入期間は最短で1カ月、最長で37カ月です。自賠責保険の加入期間は車検の有効期間を満たす必要があるため、新車の場合は一般的に次の車検がある36カ月または、備えとして1カ月を加えた37カ月の加入期間で契約します。
また、2回目以降の車検は24カ月ごとに受ける必要があるため、自賠責保険の加入期間は24カ月または、備えとして1カ月を加えた25カ月で設定するのが一般的です。
自賠責保険の加入方法
自賠責保険は、損害保険会社の支店や自動車やバイクの販売店などで加入できます。また、原動機付自転車や125cc~250ccのバイクについては、郵便局(一部取り扱いのない局もある)でも手続きが可能です。車検時に、車検業者が自賠責保険の手続きを代行してくれるケースもあります。
車検時には自賠責保険への加入が必須?
車検時に自賠責保険への加入が必要なことについて、解説します。
車検が必要な車種の場合
車検の対象となっている車両は、車検時に自賠責保険のも更新も同時に行うことになります。そのため、車検と自賠責保険の有効期限はほぼ一致しています。なお、車検と自賠責保険の更新を同時に行う際には、自賠責保険の更新手続きについても、車検業者が代行してくれます。
車検のない車種の場合
一方、原動機付自転車(原付)や125cc~250ccのバイクなどの「検査対象外軽自動車」に分類される車両は、車検を受ける必要がありません。しかし、自賠責保険への加入は法律で義務付けられているため、有効期限が切れる前に更新手続きを行う必要があります。有効期限が切れてしまうと、公道を運転できないので注意しましょう。
ユーザー車検の場合
車検は、業者などに依頼せずに自分で行うことも可能です。これを「ユーザー車検」といいます。ユーザー車検では、所有者自ら車両を点検して、運輸支局に車両を持ち込んで車検を受けます。車検の合格基準を確認しながら車両を点検、整備する必要があるため、知識や技術が必要になりますが、業者に依頼しないため作業料がかからず、お金を節約できます。
このユーザー車検の場合、自賠責保険の更新手続きも自分で行う必要があります。
自賠責保険の保険料はいくら?
ここからは自賠責保険の「保険料」について、分かりやすく解説します。
自賠責保険料の算出方法
自賠責保険は、交通事故被害者の救済を目的としており、損害保険料率算出機構が保険料を定めています。保険料は、社会環境の変化などにより改訂されることがあります。近年では2021年4月に改訂 されました。
保険料の金額は「地域」や「契約期間」「車両の種類」ごとに決められており、地域は「沖縄県以外(離島を除く)」「沖縄県以外(離島)」「沖縄県(離島を除く)」「沖縄県(離島)」の4つに分けられています。
軽自動車・普通自動車の保険料
軽自動車、普通自動車それぞれの保険料は下図のとおりです。
軽自動車 |
契約期間 |
保険料 |
36カ月 |
23,520円 |
24カ月 |
17,540円 |
離島以外の地域(沖縄県を除く。)に適用する基準料
普通自動車(自家用自動車) |
契約期間 |
保険料 |
36カ月 |
23,690円 |
24カ月 |
17,650円 |
離島以外の地域(沖縄県を除く。)に適用する基準料
バイク(二輪車)の保険料
バイク(二輪車)の保険料は下図のとおりです。
軽二輪(125ccを超え250cc以下) |
契約期間 |
保険料 |
60カ月 |
14,200円 |
48カ月 |
12,470円 |
36カ月 |
10,710円 |
24カ月 |
8,920円 |
離島以外の地域(沖縄県を除く。)に適用する基準料
原動機付自転車(125cc以下) |
契約期間 |
保険料 |
60カ月 |
13,310円 |
48カ月 |
11,760円 |
36カ月 |
10,170円 |
24カ月 |
8,560円 |
離島以外の地域(沖縄県を除く。)に適用する基準料
自賠責保険証明書とは
冒頭でも少し紹介した「自賠責保険証明書」の正式名称は、「自動車損害賠償責任保険証明書」といいます。自賠責保険に加入したときに発行される保険証であり、自動車登録番号または車台番号、保険期間、契約者の住所・氏名、保険会社名、自動車の種別、保険料収納済印などが記載されています。車検が必要な車両の場合は、車検を受ける際にこの自賠責保険証明書が必要になります。なお、自賠責保険の契約期間が、車検有効期間よりも1日でも長くなければ、車検証は交付されません。
自賠責保険証明書を紛失したときの対応方法
先述してきたとおり、自賠責保険証明書は、非常に重要な書類です。では、紛失した場合、どうすればよいのでしょうか? 対応方法を解説します。
紛失した場合は車に乗れない
真っ先に知っておく必要があるのは、「自賠責保険証明書を紛失したままでは、運転できない」ということです。なぜなら、公道で自動車やバイクを運転する際には自賠責保険証明書を携帯することが、法律で定められているからです。再び運転するためには、再発行の手続きが必要です。
再発行の手続きをする
自賠責保険証明書を紛失したら、速やかに加入している保険会社で再発行の手続きをしましょう。もし、保険会社が不明な場合は、加入の手続きをした店舗に連絡するとよいでしょう。手続きから再発行までの期間は、通常1~2週間程度です。再発行された自賠責保険証明書が届くまで、運転はできません。
再発行に必要な書類を用意する
再発行の手続きに必要なものは、「印鑑(インク浸透印以外)」「身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)」「再発行申請書」の3点です。再発行申請書は、保険会社の窓口やウェブサイトから入手できます。車検証が必要になることもあるため、再発行手続きの際には持っていくと安心です。
自賠責保険に関する注意点
自賠責保険に関して特に注意すべきことを、改めて3つ解説します。
記入漏れや誤りがあると未加入扱いになる
自賠責保険証明書の記載事項に記入漏れや誤りがあった場合は、未加入と同じ扱いになります。記載事項を早急に訂正してもらうようにしましょう。また、引っ越しや結婚などで住所や氏名が変更となったときや、車両を譲渡・売却したときにも変更手続きが必要になります。
自賠責保険証明書は携帯する義務がある
自賠責保険証明書は、運転する際に携帯することが法律(自動車損害賠償法 第8条)で義務付けられています。不携帯で運転すると、30万円以下の罰金が科されます。
有効期限を車検よりも長めにする
自賠責保険の有効期限を、車検の有効期限に合わせることは、あまりおすすめできません。なぜなら、車検の有効期限は満了日の夜24時まで有効ですが、自賠責保険の有効期限は満了日の昼12時までとなっており、車検よりも早く自賠責保険の有効期限が切れてしまうことになります。
そのため、自賠責保険の有効期限は、車検よりも1カ月程度長めにすることが一般的です。
まとめ
自賠責保険の更新時期や証明書を紛失した場合の対応などについて解説しました。自賠責保険は、車両購入時に義務で加入するため、初めて知った内容も多いかもしれませんが、知っておくことは運転の「備え」として大切です。
ちょこっと共済は、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済で、交通事故に遭い治療を受けた会員に対して見舞金を支給する制度です。
東京都の市町村に住民登録のある方なら年齢・健康状態に関係なくどなたでも加入することができ、会費は年額1,000円または500円と大変安価です。
万が一の事故に備えて、お守り代わりにぜひご加入されてはいかがでしょうか。